素人が学ぶワイン:ボルドーとは何か
ボルドーと言えばワインであるが、そのボルドーとは具体的にどこを指すのか、というと色々な説明の仕方があり非常に分かりにくい。
これまでのボルドーの5大シャトーの説明でも何度か触れてきたとおり、まずワインの産地という意味でのボルドーは、ボルドー市が所在するフランス南西部のジロンド県全体を指している。
つまりボルドーと言う地名ではなくても、ジロンド県内で算出されていれば分類はボルドーワインということになる。
これとは別に、行政区画としてのボルドーがあり、さらに同じボルドーと言っても規模によってカテゴリが変わる。
つまり、フランスの地方自治体は大きな順に地域圏(州)→県→郡→コミューン(市町村、ただしコミューンには市町村のような区別はない)に分かれており、ジロンド県の中にボルドー郡が、さらにボルドー郡の中にボルドー市(コミューンで市町村の区別はないが人口が多いので日本では市と呼ばれている)がある。
さらにこれらの行政区画とは別に、県議会の選挙区として主に機能するカントン(小郡)がある。カントンは人口規模がほぼ同じになるように設定されるため、小規模のコミューンが複数集まってカントンを形成する場合もあれば、人口が多いコミューンでは一つのコミューンに複数のカントンが所在する場合もある。
ボルドー市は人口が24万人以上と多いため、ボルドー1~8の8つの小郡に分けられている。
さらに上記とはまた別に、AOC(原産地統制呼称)の一つとしてのボルドーがある。
冒頭の地図で数字が入っているのがAOCであり、地域が狭くなるほど基準が厳しくなる。
小規模なコミューン(村)名のAOC、特にメドック地区のマルゴー(人口1,500人)やポーイヤック(人口5,000人弱)などは特に有名。
ボルドーAOCはボルドー全域=ジロンド県を対象としており、比較的基準は緩いということになる。
なおボルドーには60前後のAOCがあり、冒頭の地図が全てではないことに留意されたい。
以上、同じボルドーという言葉でも色々な意味を持つため、整理してみた。
ワインの産地(=ジロンド県)としての意味で使われることが多いとは思うが、行政区画上の意味やAOCなどについても知っておくことで、複雑に見えるワインの構造が理解しやすくなると思う。