ボルドーの格付けワイン:ボルドーとメドック地区の地理について
世界で最も有名なワイン生産地の一つ、フランスのボルドー。
中でもボルドー格付けワインは特に名高く、1級の5つのシャトーは5大ワインとも称されます。
ただ、このボルドー格付けは、正確に言うとメドック地方のワインの格付けになります。
またそもそもボルドーワインと一口に言っても、ボルドー産のワインなのか、ボルドーAOCのワインなのか、ボルドー格付けシャトーのワインなのか・・・と、意味合いも様々です。
ということで、ボルドーワインについて分かりやすく説明してみたいと思います。
ボルドーの場所
ボルドーは、フランスの南西部のジロンド県にあります。
上の地図の右上にあるフランス全体の地図で大体の場所と、またジロンド川が確認できると思います。
そして上の地図のメインの部分を見ると、中央にBORDEAUXと書かれている丸いエリアがあります。ここがボルドー市になります。
さて、注意が必要なのは、「ボルドー産のワイン」と言った場合、最も広い意味では、「ジロンド県で生産されたワイン」のことを指すということです。
ジロンド県内で、後述のマルゴーやポイヤックなどのような著名な村ではない地域において生産され、ワイン法に定める基準を満たしたものがAOCボルドーとなります。
AOCは原産地呼称、言わば生産地の品質保証のことですが、AOCボルドーはジロンド県という最も広い範囲のAOCですので、AOCの中でも最も基準が緩やかなものとなります。そのためAOCボルドーのワインはリーズナブルなものも多くあるわけです。
メドック地区
ボルドーワイン=ジロンド県生産のワインの中で、最も品質の高いものが生み出されている地域がメドックです。
そして、ボルドーワインの格付けと言う場合、ジロンド県全体の格付けではなく、このメドック地区のワインの格付けのことを指します。
上記地図で、ボルドーの北東に斜めにMedocと書かれていますが、これがメドック地区になります。
メドック地区の拡大図を示します。ジロンド川の左岸に位置します。
まず、メドック地区は大きく2つに分けられます。
北側の「メドック地区」と、南側の「オー・メドック地区」です。
「メドック地区」は、上の地図でBas-Medoc(バ・メドック)として示されている緑の部分です。Basは声楽でバスというように、低いという意味のフランス語で低地にあるためこのように呼ばれていましたが、現在はバ・メドックとは呼ばずメドックと呼ばれます。
「オー・メドック地区」は、上の地図でHaut-Medocとして示されている紫の部分です。Hautは英語のHighで、高地にあることを表します。
ボルドーワインの格付けに含まれるワイナリーは、格付け1級のシャトー・オー・ブリオンを除き全てがオー・メドック地区にあります。
Saint-Estephe(サン・テステフ)
Pauillac(ポイヤック)
Saint-Julien (サン・ジュリアン)
Margaux(マルゴー)
の4つの村(コミューン)は特に有名で、格付けワイナリーの大部分がこの4つの村に集まっています。
ちなみにサン・テステフとサン・ジュリアンに共通のSaintは、英語と同じスペルで「聖人」という意味です。フランス語は末尾のtは発音しませんが、その後に続く文字が母音で始まる場合はそれと合体して発音されるため、Saint-Estepheはサン・エステフではなくサン・「テ」ステフとなります。
AOCは狭い地域ほど基準が厳しくなるため、AOCポイヤックやAOCマルゴーといった上記の村の名を冠したAOCワインは、最高級の品質を有しているということになります。
以上、ボルドーワインと言っても色々な意味があるということはお伝えできたのではないかと思います。
ボルドーの格付けはシャトー、すなわちワイン生産者に対して付けられており、また製造しているワインもセカンドワインなどを除けばシャトー名と同じです。
そのため、畑に対して格付けを行い、同じ等級の畑でも多くのワイン生産者が存在するブルゴーニュワインよりも分かりやすくなっています。
したがって、ボルドーの格付けワインについては、シャトー名と等級、また上記の地図をもとにAOCも押さえておけば普通の人から見れば十分ワイン通と言えるでしょう。
と言ってもボルドーの格付けワインは、1級は5、2級は14、3級は14、4級は10、5級は18で計61もあるため、全部記憶している人はソムリエなどを除けばほとんどいないと思いますが・・・。
何かの参考になれば幸いです。