祝・「ハイスコアガール」連載再開
昔からゲーム好きだった人間にとっては懐かしさも覚える空気をこれでもかと感じられる名作漫画「ハイスコアガール」の連載がようやく再開する。
作中では実在のゲームが多く登場するが、未許諾のものも多く含まれていたことから出版元のスクウェア・エニックスが著作権侵害による刑事告訴を受け、その騒動に伴って2014年夏から雑誌の連載がストップ、単行本も回収され現在は入手困難になっている。
その後、2015年夏に至り、刑事告訴をしたSNKプレイモアを買収した中国のオンラインゲーム企業37Gamesの意向もあり、刑事告訴の取り下げを含むスクウェア・エニックスとSNKプレイモア両社の和解が成立し、「ハイスコアガール」の連載・販売再開が発表された。
そしてさらに1年近くを経て、ようやく「ハイスコアガール」が7月25日発売の月間ビッグガンガンで掲載される運びとなった。
それに加えて、以前まで販売されていた単行本を加筆・修正してリニューアルした「ハイスコアガールCONTINUE」の1巻から5巻と、さらに最新の単行本第6巻も同日に一気に発売される。
このリニューアル版単行本に「CONTINUE」を付けた発想は素晴らしいと思う。
ゲームセンターは、今でこそ明るく健全なエンターテイメントの場としてのイメージがあるが、昔は不良のたまり場として教師などから入らないよう指導されるような、一種アンダーグラウンドな空間だった。
また何故か駄菓子屋にもアーケードゲームの筐体が置いてあり、そこで周りの目を気にしながらプレイするといった、今とはかなり異なるゲーム環境だった。
こうした空気感をこの漫画は伝えてくれている。
また主人公ハルオも、無類のゲーム好きだが人への思いやりを持っている部分も上手く描写されており、月並みな表現だが多くの魅力的なキャラクターと先の読めないストーリー運びに引き込まれる。
「ハイスコアガール」騒動は報道でも大きく取り上げられ、作者はとんでもない状況に置かれていたと思うが、こうした乱気流を乗り越えて再び多くのゲーマー達を楽しませてほしい。